2000年 "PRINCE A CELEBRATION "
2000年セレブレーション:チケット購入〜ミネソタ到着
オフィシャルサイトで「Prince A Celebration」が発表されてから1カ月、バタバタと旅の準備を始めたがすぐに出発の日はやって来た。関空から出発するのは自分だけで、現地で合流予定の日本の方達は成田からだった。初めての海外旅行で不安は有ったが、プリンスを観れる事の嬉しさが勝っていたように思う。行きは関西国際空港からミネアポリス・セントポール空港へ直行のノースウエスト。着席すると周りの席は外国人が多く、隣には金髪の子供が二人座っている。落ち着きの無い子供が原因か自分の緊張のためなのか、結局ほとんど眠れずミネアポリス到着のアナウンスを聞く。飛行機が地上に近づき窓の外を見ると、映画で見るような洋風の家がハッキリと見えてドキドキしている間に到着。
入国審査に移動すると、審査官のおじさんから「何しに来たの?」と聞かれ「観光」と答えるがここは観光するところじゃないと不満そうに返される。話が通じないため日本人スタッフの通訳を呼ばれ、今回プリンスのコンサートを観に来たと答えるとようやく納得、その後もプリンスで好きな曲は何だ?と聞かれたりと少し興味があるようだった。
到着ゲートを抜け、まず一番初めに感じたのが空港内のシナモンのような香り、その匂いはその後数日間どこに行ってもしていた。空港内を迷いながらレンタカーの受付けカウンターに到着、強面の黒人さん相手に意思の疎通が難しかったが、どうにか手続きを終える事が出来た。
用意された車は当然左ハンドル、これも初めての経験、なんとかなると自分に言い聞かせ出発。道に出ると当然ながらアメリカは「右側通行」、これは慣れていない人間にはとても難しくなかなか体に馴染まない。渡米前にプリントアウトしておいた地図を再度確認し、集合場所である空港からすぐ近くのホテルを目指して行くが、考えていた距離感と大きく異なり道を間違えてしまった。1人で慣れないハイウエイを走りながら標識を確認するのは無理だと思い、仕方なく通行人にホテルの場所を尋ねると「次の道を4つ越えてから右に曲がって、、、」と詳しく説明してくれるが複雑過ぎて理解出来ず。。。その後も自暴自棄に走っていると奇跡的にホテルを発見!。
到着すると日本からの方達は自分より早い便だったようで部屋に集まっていた。 この日は何の予定も無かったので、とりあえずペイズリ−パークを見に行く事になった。隣でナビをして貰ったおかげで運転もスムーズに行え、ホテルから20分ほど走り最後の丘を登っていくと左手にペイズリーパークが現れた。今まで写真でしか見た事が無かったものが実際に建っているのだが、現実感が無くおもちゃのように見えた。勿論この日は「セレブレーション」の前日だったので客は誰も居ない、正面ゲートも閉まっており中では明日の食糧の搬入作業をしているようだった。しばらく皆で写真撮影を行い、この日はスーパーに寄りホテルに戻る。

セレブレーション1日目(6月7日)
今回7日間の予定は、最終日にあるプリンスのライブ以外に昼間はペイズリーパークを見学しビデオを見る事と、夜は毎晩ゲストによるライブを観るという形だったので、日によってはペイズリーとホテルを2往復するハードなスケジュールだった。
初日、ペイズリ−パークの見学ツアーに参加するため朝早くに出発。到着すると入り口には既に何人かの列が出来ており、テレビ局の中継車も来ている。受付のテントでVIPパスを受け取り並んでいる間も顔を上げると本物のペイズリーパークが目に入るので興奮が収まらない。結局2時間以上も待たされようやくツアーの順番が来た。
ツアーは15人程のグループになって廻るようで、まず入り口のところで噂に聞いていた金属探知機とボディチェックを受け、パンフレットを受け取る。室内は今まで雑誌で見てきたそのままの内装で壁には空が描かれ、廊下には沢山のプラチナ&ゴールドディスクが飾られていた。廊下を奥へ進むと吹きぬけの中庭があり、くつろげるようにいくつかソファが置いてある。以前観たビデオ「Beautiful Strange」でプリンスがメルBからインタビューを受けてたのを思い出す。その隣にキッチンが有るのだが入る事は出来なかった。1階ではいくつかのスタジオに通され、その都度ガイドが説明をしてくれるのだが、当然すべて英語なので詳細は分からない。施設内にはダンスの練習をするためのスタジオもあり、バスケットゴールまで付いていた。この周辺の多くの家の前でバスケットボールのゴールを見かけたので、生活に密着しているように感じた。廊下を歩く途中ほんの少し開いていたドアがあり、中を覗くと子供のおもちゃが無造作に置かれていて、それを見て少し胸が痛んだ。ツアーが進むうち思った以上に建物の間取りが迷路のようになっている事に気づき、後になってメモしておけば良かったと悔む。

続いて2階に移動しプライベートな部屋は見る事が出来なかったがトレーニングルーム、鳩が入っているケージ、ビリヤード台がある部屋、少し覗いただけだがラリー・グラハムのオフィスも見る事が出来た。地下に降りると、写真で良く見ていた沢山のトロフィーやゴールドディスクが飾られている部屋に到着。壁には例の何百曲と言われるマスターテープが保管されている金庫も見れたのだが、以前雑誌で見た時に付いていた顔のレリーフが金庫には無かった。あと印象的だったのはマイルス・デイビスの作品で、キャンバスに「Prince」と斜めに描き殴った油絵が飾
られていたが、絵としてはもう一つという感じだった。部屋を出ると「Sexy MF」のビデオの舞台になっていた駐車場に続いて行くのだが、ビデオと違い暗くて小汚い感じだ。後日、当日券を買いツアーを回った時には地下や2階には上がれなかった。
あっという間にツアーは終了、建物の中にある2つのライブスペースに足を踏み入れる。まず最初が週末になると頻繁にライブが行われる「Love 4 One Anoter」ルーム。いかにもライブハウスという感じの場所。そこに隣接するさらに大きなスタジオ「サウンドステージ」はおもにツアーのリハーサルに使われるらしく、体育舘という感じの大きな所。普段のパーティーの時はこの2つのスタジオの間にある大きな扉は開いている事はないらしい、今回ここはプリンスの衣装や楽器、車、バイクが展示されている。楽器のコーナーに触るなと書いてあったがゴールドアックスとシンボルギターがあったのでギターのスイッチを動かしてみた。本物を見て気付いたがペグがハートマークだった。壁には歴代の衣装達がぶら下がっており、繁々見るとすべてのズボンの裾にヒールに引っ掛けるためのゴムバンドあり「マペットショー」の時のジーンズにまで縫ってある。その横ではプリンスグッズが在庫一掃という感じで叩き売りされていて、安かったので商品を取りレジに並んでいたが列が全く進まない。前を見るとレジを打つヤンキー娘がマイペースにりんご食べながら打っている。イライラしたがここがアメリカなのを思い出し、グッと堪えてレジを済ませる。
パソコンが並んでいるブースへ向かうと紫のiMacがズラリと7台程並んでおり、そこで次のアルバム「クリスタルボール2」の収録曲の投票が出来るらしい、ブートは聴いてきたつもりだが知らない曲がほとんどで、誰も聴いた事ない曲について何を基準に選べば良いのかと戸惑いつつ適当に選ぶ、せめてサンプルとしてサワリぐらい聴かせて欲しかった。その他来館者がメッセージを入力する項目もあったためとりあえず「Thank You!」とだけ入れておいた。
改めて「Love 4 One Anoter」ルームへ。この場所でプリンスは数え切れないほどのライブをやってきたのかと思うと胸が熱くなる。昔のビデオが流れる中一人喜びを噛み締め、そこで今回だけ売られている「NPG Water」を買う。ただのペットボトルの水にステッカーが貼ってあるだけではあるが格好良かった。
「L4OA」ルームを出ると小さな売店があり、今回の記念Tシャツ等グッズが沢山売られている。残念な事にどれを見てもデザインが悪い、いつものプリンスの専属デザイナーが描いたのだろうが勘弁してほしい。 スタッフが着ているスタッフ用Tシャツが一番カッコ良いというのは考えものだ。
時間も遅くなり外に出て敷地内テントで売っているハンバーガ−を買い遅い昼食を取る。ハンバーガーは肉の入ってないベジタブルなハンバーガーで他の方の感想は美味しくなかったらしいが、空腹だった事もありとても美味しく感じた、選び方にもよると思うのだが、向こうの食べ物はマズイ物が多い印象が強い。芝生の端に眼を向けるとあの「Beautiful Strange」でプリンスが乗っていたブランコが設置されている。実物が目の前に有るので恥ずかしながら乗ってみたが、非常に乗りにくい。そんな事をしているうちに昼の部は終了、一度ホテルに戻る。

ホテルで中途半端な時間を過ごし、数時間後には夜の部を見るために再びペイズリーに出発。セレブレーションの一週間、夜の部は毎日のようにゲストのパフォ−マンスがある為、早めに来たのだけれど既に沢山の客が並んでいる、普段の週末もこんな雰囲気でファンがここに集まって来るのだろう、しばらく期待と緊張の時を過ごしオープン。 昼間貰った予定表には今日はメイシー・グレイと書いてある。メイシー・グレイの曲は良く知らなかったが、こちらが期待していたのはプリンスが飛び入りするかどうかの一点のみだった、入場してすぐにステージの脇にシンボルギターが置かれているのを確認しており、ライブは夜中から始まるにも関わらずステージ近くの位置で陣取っていた。
開演時間になり、いよいよメイシー・グレイの演奏が始まる。照明がとても暗く服の色も判断出来ないほどで、目の前でガムを噛みながら歌っているコーラスの2人の女性が黒人か白人かも分からない。曲は進んで行くがプリンスは出て来る様子もなく、メイシーがプリンスに向けてハッピーバースデイを歌っているのだが何の反応も見せない。実はその時後ろでサウンドボードをいじってたそうで、このまま終わってしまうと諦めかけたその時、舞台の袖から金色のノースリーブのシャツを着たプリンスが登場!しかし、ステージに上がりキーボードを20秒程弾いてまた降りて行った。結局その日、プリンスの姿を見たのはその瞬間だけだった。
セレブレーション2日目(6月8日)
二日目の夜のパーティーはパフォ−
マンスが「タジャ・シビル」。今回唯一知っている歌手、と言ってもCDもろくに聴いてないが。この日も後ろで客がダンスしているにも関わらず、ライブが始まるまでの長い時間、ステージ前で直立不動!周りの人も結構こたえるらしく床にしゃがんだりしている。結局ここに来るとほとんどの人は最初から最後まで立ちっぱなし、2時間以上経った頃ようやく演奏が始まるが、いつまでも待ってもプリンスは現れる気配無し。この日は一度もステージに出る事なく終わる。せめてタジャにはプリンスの曲を演ってほしかった。後から聞いた話で はプリンスは今日もサウンドボードを触っていたらしい。

セレブレーション3日目(6月9日)
この日、夜の部は前日の教訓を生かして後ろのソファの横に体育座りで待機。ソファは高い台の上にあり、この場所がこの会場を一番見渡せる絶好のポジションだと聞き、プリンス登場をこの場所で待つ事にした。ダンスタイムが終わりいよいよライブの時間がやって来た。今晩のパフォ−マンスは
「TKO」。ドラムのカーク・ジョンソンのバンドで昨日、一昨日と比べてかなり聞き応えのある演奏だった、結局この日のライブが一週間の中で 一番良かったように思う。
演奏が始まり2曲目くらいで後ろに目をやると知らない内にプリンスがサウンドボードを触ってる!それを見た瞬間慌てて近くまで走って行った。不思議な事にプリンスが来ても客は全く騒がない。地元に住んでいる日本人のMさんによると、プリンスが近くにいても騒いだりしないのが、この会場での暗黙の了解らしい。 目の前で本物のプリンスが動いている!周りのファンはここにプリンスがいるのを知っているのに全然見ようともしない。そんな中アーロンと言うセキュリティーが常にプリンス近くに居て周りを睨んでいる、それにも構わずプリンスを凝視していた。とても小柄で少年のような感じだった。並んでいた日本人スタッフのタクミさんとプリンスとは丁度同じ背の高さに見えた。その時のプリンスの衣装は青色のスーツで、下に着ていた白いシャツと合体したような滑稽な服。プリンスは思いのほか機嫌が良いようでドラムスティックであちこち叩いてみたり、風船を膨らませたり、ガールフレンドと楽しそうに会話していた。
すると小さな黒人の女の子がやって来て、プリンスはその子を抱きかかえて笑っている。その笑顔が、これがあのプリンスかと思わすようでとても印象深かった。後でその女の子はカークの子供だと分かり、カ−クのバンドでは少しラッパを吹いていた。演奏が進むにつれ機嫌の良いプリンスは周りの取り巻き二人を呼び、3人でサウンドボードのマイクを使ってコーラスを取っていた。そんな調子でこの日のプリンスはバンドの演奏中 終始音を調節していた。しばらくしてライブが終了、またダンスタイムが始まり4時頃お開きになった。プリンスの演奏は無し。

セレブレーション4日目(6月10日)
この日の夕方、ペイズリ−パークの入場ゲートで並んでいると前のほうの人達がオォーと騒いでいる。振り返ると一台の車がペイズリ−に入って行き、それに続いて紫色の怪しい車も入って行った、プリンスの新しい愛車でクライスラーのプロ−ラーという車らしい。雑誌にも愛車と一緒に写っていたので間違いない。変な形ではあるがそれがまたプリンスらしい。
この日のライブはニューヨークから来た「Days Of Wild」というプリンスのカバーバンド。イサム君という日本人がサックスで参加しており、今回の演奏は交通費だけでノーギャラらしい。この夜のプリンスはライブが終わってからのダンスタイムに登場、例によってPAの音をいじってた、するとおもむろに自分でビデオをセットして壁の大型スクリーンに93年のライブ(アクト2)を流しだした。個人的にこの時期が一番好きだ。映像はライブのアンコールでプリンスがベースを持って「America」を演奏している。その最中も当の本人はリズムを取りながら楽しそうに音をいじってる。こんな映像があるなら発売して欲しいと思いながら、スクリーンとプリンスを忙しく交互に見ていた。

セレブレーション5日目(6月11日)
この日のライブパフォ−マンスは「Mint Condition」というミネアポリスの知らないバンドで地元では有名らしい。肝心の音の方は良くもなく悪くもなくという感じでライブ終了。続いてダンスタイムが始まった、しばらく経った頃に今晩もプリンスはサウンドボードを触りにやって来た。この夜のプリンスはかなりカッコ良かった!。まず髪の毛が十箇所位くくられていて、衣装も紺のベストに耳には大きな三角のイヤリングという格好、確認出来なかったが、一度奥に帰って行き戻った時にはイヤリングが円になっていたらしい。そのカッコを見せられると十分ステージ衣装と言っても差し障りなく、もしかして演奏するのか?と期待したが演奏は無かった。
その代わりこの日はステージ横のソファに座ったり、最後にステージに上がりほんの少しファンとコミュニケーションを取り、風のように去って行た。
思い返すとこの日くらいから本格的に体がきつくなって来た、睡眠不足の上、毎日ペイズリ−パークに入ってから朝の4時頃までずっと立ちっぱなし、日を追うごとに部屋の隅っこでしゃがみこむ事が多くなり、床に座り壁にもたれて寝ている事も多々あった。思い返すとあのペイズリ−パークで寝るなんて凄い事じゃないかと考えるようにしている。そんな事でこの日も終わったのは4時15分頃。

セレプレーション6日目 (6月12日)
ついにペイズリ−パーク最後のパーティーの日、ペイズリーも今日で見納めと思うと少し寂しい気がした。この日は昼間から雲行きが怪しく、夕方出発する頃には雨が降り出し、その雨は到着しても降り続いていた。一緒にいる日本の人たちも雨具を用意してなかったので、近所のスーパーで傘を買ったのだが、使おうとした瞬間に雨がピタッと止んでしまった。誰かが虹が出ていると言うので空を見上げると、ペイズリーパークの後ろには大きな虹が掛かっていた。急いで写真を撮ろうとしたが、ベストポジションに移動する前にフイルムが無くなってしまい残念だった。
今夜はライブパフォ−マンスの予定は無くダンスパーティーに終始した、プリンスは昨日と同じく髪の毛をくくり、衣装は金色のノースリーブのパーカーを着て現れた、この頃になるとプリンスを最初に見た時ほど動揺する事なく普通に見れるようになってる自分がいた、プリンス慣れしているのか。この日はプリンスのお母さんが来ていたのだが、顔が似ているのか良くわからなかった。やはりVIP待遇という事で、一番いいソファの席をセキュリティ−に誘導されて座っていた。チラチラと何度も顔を見てたけど結構な年だと思う、こんな所に来て楽しいのかなという疑問も頭をよぎる。改めて周りを見渡すと、今回来ている客層もアダルトな婦人(みんなとても太ってる)も多いのでやっぱり音楽に接する姿勢が日本人とは違うのか?。その後時間は4時を回りお開きになった。

セレブレーション7日目(6月13日)
最終日「ノースロップ・オーディトリアム」でのコンサート。この一週間、プリンスの演奏する姿はほとんど見れなかったのでようやくという感じだ。昼間にホテルを出てライブの始まるまでの時間を利用し、プリンスが昔住んでいた紫の家を探しに行く事になった。かなり探してみたものの結局家は見つからず、時間が迫ってきたのでコンサート会場に向かう。
今回の会場は大学の敷地内にあり、車のパーキングも6階はある立体駐車場を利用するのだが、これが大学の構内というのが信じられない大きさだ。車を降りると雨が降っていたので小走りで会場に向かう、ようやく待望のライブが観れるせいで興奮している自分に気付く。会場に到着するとペイズリーパーク同様に金属探知機による厳しいボディチェックを受け入場、内装はアンティークな感じで雰囲気はとても良い、大きさは大阪厚生年金会館より少し大きいくらいか。自分の席を見つけ辺りを見回すと、目の前でDr.フィンクのコスプレをしたおじさんが一生懸命自分の席を探していたのだが、時折サインを書いたりしていたので本物と分かった。少し太っていたので見分けがつかず、ファンではなかったが握手をしても貰う。隣に眼をやると、いつもプリンスと一緒だった女の人が通路でカメラマンと話してる。そうこうしているうちに開演の時間になった、幕が開くとスクリーンには意味不明の日本語で「日本海溝」等の文字の羅列がアップで映し出される。どうやら辞書のようだが、日本語の意味を考えず使っている感じだ、とりあえず漢字ならいいのだろう。その次には埴輪のような写真も映され、困惑しているとプリンス登場。
「Anna Stesia」という意外な選曲から始まった事に驚いたが、曲の途中で世界中から集まって来ているファンに対してそれぞれの地名を叫び、二番目には「ジャパン!」と叫んでくれたものの日本人はノリが悪かったので返事はしなかった。その後「Uptown」や「Let's Work」と別に際立ったアレンジのない古めの曲が続き、今回のアルバムで唯一好きな「Pretty Man」。勿論メイシオ・パーカーも登場し、ラリー・グラハムとメイシオの大御所に挟まれて歌うプリンスは凄く嬉しそう。この場面がこのライブのハイライトだった。それにしても会場の雰囲気が日本とは全く違うのには驚いた。歓声が凄まじく、プリンスを観たくて世界中からミネアポリスにまでやって来た人間が集まっているからか?。それとも通常のライブがこうなのか?。
 曲は進み、客をステージに上げるダンスタイム、そしてゲストのアンジー・ストーン、Qティップが登場。その後好きではないDoug E.Freshも現れ、正直言って退屈な時間だった、それをプリンスが望んでるのなら仕方ないが。希望としてはゲストにエリック・リーズを呼んで欲しかった、歴代のメンバーの中ではプリンスとの相性も抜群に良かったと思う。今は何をしてるのだろう。
そうこうしているうちに始まった曲はなんと「America」。最近はこの曲は演奏していないようだったので、 93年の頃のような超絶ファンクに曲が発展していくのかと思いきや、この曲の時は会場に来ている昔の「レボリューション」のメンバー、ブラウンマーク、Drフィンク、ボビーZがステージに上がり、ウエンディ&リサ抜きのレボリューションが再現されたのだが、残念ながらインプロの盛り込まれた展開ではなく単調なジャムという感じの演奏に終始した、やはり今回はお祭りムードのライブなのでこんなもんかなという感じだった、Drフィンクは結構がんばってたけど、ボビーに限ってはリハーサルにも参加してなく、本当は演奏の予定も無かったらしい。
結局この日のライブは22時15分から始まり、終わったのが1時40分で、なんと3時間半程の ボリュームあるライブになった。時間としては今までのライブと比べかなり長い。全体として目についた事は多くの曲はアドリブを挟みつつの演奏ではなく、だらだらとしたジャムが延々と続くという感じだった。これも後日分かった事だけれど、この日はセットリストを決めずに進んでいったらしい。さらにゲストのコーナーによって中だるみするライブになってしまったような気がする。やはりプリンスが主役なんだから脇に回らず、時間は短くてもいいからタイトで緊張感のあるライブが観たかった。

"Northrop Auditorium" Minneapolis
1.Anna Stesia
2.The Greatest Romance Ever Sold
/4 The Tears In Your Eyes
3.Uptown
4.Let's Work
5.Delirious
6.Rock And Roll Is Alive!
7.Purple Rain
8.Pretty Man/Intermission
9.Give It Up Or Turn It A Loose
10.Breathe And Stop (W/Q-Tip. Doug E.Fresh)
/Hola Hola Hola
11.Come On
12.The One
13.The Question Of U (Instrumental)
14.When You Were Mine
15.Days Of Wild
16.No More Rain W/AngieStone
17.Dr.Feelgood (Aretha Franklin) (W/Angie)
18.Nothing Compares 2 U
19.Take Me With U
/Raspberry Beret/Country Song
/James Bond Theme
/(I Like)Funky Music
/Funky 4 No Reason
20.The Jam (Vo-Larry Graham)
21. Everyday People (Vo-Larry Graham)
22.Man 'O' War
23.Adore
24.America
/Give It Up Or Turn It A Loose
/Take The A Train
/It's Gonna Be A Beautiful Night (Inst)
(W/Bobby Z. Brownmark.Dr.Fink.Angie Stone)
25.Kiss
26.Gett Off (W/Q-Tip. Doug E.Fresh)
27.Doing It To Death
/Groove On (W/Q-Tip. Doug E.Fresh)
28.Push It Up (W/Q-Tip. Doug E.Fresh)


ノースロップでのライブが終了後、ペイズリ−パークでアフターパーティ−があるという情報が入り、急いで車に乗りペイズリ−に向かった。
到着すると沢山の人が並んでおり、セキュリティーが何度も青いパスを持っている人だけ並んでくれと叫んでいる。それを聞くと不安になり諦めて帰る人も沢山いた。それでも僕達は諦める事が出来ずそこに残っていると、ペイズリ−の日本人スタッフのタクミさん(日本語はあまり喋れないらしい)に頼み僕らは入れてもらえる事が出来た。
中に入りステージを見ると楽器の用意は無く、演奏が無いと分かり少し残念だったが、入れただけでも十分嬉しかった。しばらくダンスフロアを眺めていると 、いつのまにかサウンドボードの所にメイシオパーカーが来ている!その隣で「Days Of Wild」でサックスを吹いていたイサム君がサインを貰っている!。メイシオはサインを二人程に書いてあげるとすぐに帰ろうとしたので、慌てて出入り口の所まで追いかけ、そこで握手をしてもらおうと手を伸ばした、するとメイシオは握手をしながらデカイ声で「How are you doing?」と声をかけてくれた。

この夜のプリンスは、白のダブダブのノースリーブのシャツを着ており、サウンドボードに来て自分でビデオをセットして、さっき演奏したライブの映像を早速スクリーンに映していた。
しばらくして奥の方に帰って行き、もうこれで見る事はないかなと思いつつサウンドボードの入り口のつい立てにもたれ掛かってると、「Excuse Me」と声を掛けられ、振り向くとそこにはプリンス!とっさの事で、日本語で「すんません」と言って体を退けた。あまりの事に心臓が止まりそうになり、人生最大のクライマックスを迎えたような瞬間だった。
その後もプリンスはDJブースに登っていったり、サウンドボードをいじってみたり活発に歩き回り、プリンスが歩くと人でいっぱいのダンスフロア−がそこだけ十戒のように道が出来た、その時に日本の人達もプリンスに握手をしてもらったと喜んでいた。
この夜もプリンスのお母さんはソファに座ってみんなが踊っているのをパーティーの最後まで眺めていた、やはり母親としては誇らしい息子なのだろう。5時頃にようやくお開きになり、外へ出るともう夜が空けて明るくなっていた。ホテルに帰り寝る時間もなく、帰りの飛行機に飛び乗り旅は終了した。
今回、プリンスを見るためにわざわざ海外まで行った自分自身に驚いたが、また機会があれば行ってみたい。

【 CDケースに入った"Prince A Celebration"のパンフレット】








【 パンフレットの内側】










【 "Paisley Park"のパンフレット・ボトル・Tシャツ】











【 "Prince A Celebration"のポスター】











2000年8月