2002年日本ツアー
メンバーは前日に来日しているにも関わらず、プリンスは例のごとく当日到着という余裕の無さ、まあプリンスらしいと言えばそうなのかなと。とりあえず仙台、大阪、名古屋を観に行くのが精一杯だった。

11月21日仙台公演
今回の来日公演で唯一仙台だけがスタンディングで観れるとの事で、前日はなかなか寝付けなかったものの当日は6時に起きて大阪空港から出発、11時には”ZEPP仙台”に到着する事が出来た。会場前には既に15人程NPGMCメンバーと思われる人達が並んでいる。その後自分の後ろからあまり列は伸びず、こんなに寒いのに早く来なくてもよかったかなと後悔。それでも午後には列も結構長くなり4時半頃には客入れ開始、しかしロビーから会場には入れてくれない。並んでいるとサウンドチェックの演奏が聞えてくる、扉の向こうからは半年ぶりのプリンスの声が!、曲は多分オハイオプレイヤーズの”スキンタイト”だと思う、しばらくするとサウンドチェックを終えたジョン・ブラックウエルが並んでいる客の所へ来てブラブラしてる、日本語で”プリンスのファンの方ですか?”と尋ねると” ヨロシクオネガイシマス”と手を差し出してきたので握手する。ホントにイイ人。どうやらステージの準備が進んでないらしくサウンドチェックの公開は無理だったらしい。

そのまま1時間程待ってやっと場内へ!急いでプリンスのマイクスタンド前を確保。ステージ下にはギターと共に、タクミさんがギターのチューニングをしている。タクミさんの話によるとセミアコはジョージベンソンから貰った物らしい、ボディ裏にマジックで何か書いてあるが英語で良く分からん。多分「プリンス君へ、ジョージベンソンより」と書いてあるんだと思う(?)。さすがに会場は狭く、フロアーを柵で何列もに区切られてある。ステージはとてもシンプルで会場が狭い為かバックドロップは無くセレブの時と雰囲気は近い感じだ。会場の一番後ろにはプリンスのチェック用の民生用ビデオカメラが一台設置されている。開演前に日本人スタッフから今夜"Ghetto"というクラブでアフターパーティーが行われるとの情報を聞くが、隣の人に尋ねるととても狭いクラブなのでショーの期待は出来ないらしい。

そしていつものように御香が焚かれるとショーが始まった!"Rainbow Children"から始まると思っていたにも関わらず、まずはインストからスタート!プリンスが白のニット帽、白のセーター、サングラスに白のズボンという格好。とてもカジュアルな感じで若干緊張感に欠ける。しかし、6年ぶりにこの超近距離で見るためか周りの人達は、凄くエキサイトしていて隣の迷惑お構いなしに踊りまくる、特に女の方、押されて体が痛い、こういう所が紳士的な外国人との違いか。2曲目は"Xenophonia"この曲はインストとしてとても良い曲だけど、メイシオとエリックリーズ、グレッグがソロパートを分け合う事で演奏時間が長くなりどうしても曲がダレる。予定では残りの日本公演のサックスをメイシオの替わりにエリックが担当するはずだったのに、メイシオが残りたいと訴えたらしい。メンバー的には嬉しいがショーの質が落ちるんじゃ・・演奏は、、途中ノースリーブの黒シャツに着替えて来たプリンスのどう見てもぷっくりしている二の腕がとても気になり曲に集中出来ない。運動不足かなと余計な心配をする。3曲目には聞いた事の無い曲を演奏、分からない(あとでニッカコスタの"Push &Pull"と判明)。次に"Bambi"が始まり会場は湧いているものの半年前にセレブで聴いているのでイマイチ燃えない。その次の"Whole Lotta Love"も選曲はとてもイイのだけど、ブートでも何度も聴いてる為これしきの事では感動しない。"The Work Pt1."の最後ではあの忌まわしきダンスコーナーが!それもこの日は志村けんの”へんなおじさん”の振り付けをする人がいた。それを見たプリンスは最初はビックリした表情をしていたが結局最後には本人がやってしまった・・・やめてくれ。

その後も会場は盛り上がっていたが個人的には感激できる曲は無くショーが終了。客電が点きタクミさんも撤収作業に入るのでホントに終わったんだなァと思い諦めかけた時、アコギを抱え黒のコートを着たプリンスがぶらっと登場!会場は大歓声!片付けを始めていたタクミさんも慌ててステージにマイクスタンドを立て直す。そしてギター一本で始めた曲は"Last December"!サプライズという感じでみんな凄い興奮状態で泣いてる人までいる。そんな人の気持ちを知ってか知らずか1曲演奏するとさっさと帰って行った。今度はホントに終了。

会場を出た後とりあえず歩いてゲットーに向かう事に、地元の人は”ゲトー”と呼んでいるらしい。店に着き場所を確認して、近所で腹ごしらえをしてから再びゲットーに1時頃到着、とにかく会場に入ってビビッた!入り口からエレベーターで地下に降りると目の前に現れた場所は想像以上に狭く(汚く?)普通のガレージをただクラブと言っているだけのような場所、しかもタバコの煙が凄く、これ以上劣悪な環境があるのかという程!この光景にも驚いたがさらに衝撃だったのが、この場所にプリンスが現れた時だった!。まさか、あの、プリンスがこんな場所に登場するとは!!DJブースに現れDJの横でほんの3、4分居ただけだったけど、とてもシュールな光景だった。聞いた話では最初このクラブに来るのはセキュリティーには止められたらしいが、エホバに入信して心が優しくなったプリンスはファンの為にと現れたのだろう〜偉い!。1度奥へ引っ込んだ後はいくら待っても現れず、諦めて帰ろうと外に出ると、黒のリムジンが待機していた。5分程たった頃セキュリティーに挟まれる格好でブラウンのスーツに黒のコートを着たプリンスが!!女の人が駆け寄って行くとセキュリティーに止められ、本人はサッと車に乗りこむ。ゆっくりと車が目の前を進んで来た、窓はスモークになってるので中は全く見えない。そしてホテルに帰りみんなで今日の反省会。

11月28日大阪公演
当日は天気も良く、考えてみると自分でも本当に久しぶりの大阪城ホール。11時に到着したというのに既に20人程の人達が!、、知ってる顔もチラホラと。この日はプロモーターの配慮で外ではなく室内で並べる事になった、一応来る時カイロを買ってきたけど有り難い事だ。4時頃サウンドチェックを観るため会場後方から入場、サウンドボードの所には記録用のカメラ1台のみ、放送用の大きなカメラは見当たらない。歩いていくとステージ後方には”NPGミュージッククラブ”の文字がご丁寧にも日本語で書かれている、何かカッコ悪い(笑)。ステージ上にはプリンスの姿が!近くまで来るとメンバーに手を振っているではないか!どうも手を横に振って挨拶するのはアメリカに無い習慣だとの事でプリンスが手を振るとカワイイというか滑稽な感じ。NPGMCの会員が着席してしばらくするとサウンドチェックが始まった。まずはお馴染みの"Hair"からスタート、まあありきたりな選曲だけどラリーを思い出すので嫌だ、2曲目のインストルメンタルはアップテンポでとてもテンションの高い演奏が続いた、サウンドチェックとして公開するのはもったいないくらい、こういうのを本番で演ってくれると最高なんだが。3曲目には歌付きで何か演奏したが何の曲か分からず。その後しばらくインストで演奏が続いたあと自分で音をチェックする為プリンスはステージを降り客の後ろの方に歩いていく、大阪城ホールは椅子が真っ赤なので、赤い花畑にたたずむプリンスという感じ。しばらく椅子の上に置かれているチラシ(ボーイズ2メンの来日告知)を眺めている、そして40分程のサウンドチェックが終わりプリンスは手を上げて去って行った。

その後、開演時間が少し過ぎいつもの御香が焚かれていよいよショーのスタート!仙台とは違い胸のところの生地がクロスしているスーツを着たプリンスがおもむろにドラムセットに座り叩きはじめる。一瞬聴くと上手く聞こえるが、ディレイを効かせている為とても早く叩いているように聞える(フェイク?)。しばらく叩いた後素早くジョンとチェンジ、一曲目の"Rainbow Children"が始まりプリンスがあのピッチを落とした声で喋りを始める。そしてステージ中央に立ったプリンスの後ろからのライトがまるで後光のようだ!"The Work Pt1"が始まり最後は又ダンスコーナーに!。印象に残った所では"Strollin"これは今年のセレブでも聴いた曲だったけど、比べ物にならないくらい良い!後半のアレンジがホーンセクションの充実とキーボードによってゴージャスに変身している。そして"All The Critics Love U In NY"、正直な話この曲はその時は分からなかった(汗)。"1999"のアルバムは持ってるにも関わらず、ろくに聴く事も無く今日に至り、後で多数の方からお叱りを受けた。家に帰って聴き返したが正直なところアルバムヴァージョンはイマイチの出来。今日のライブではとても素晴らしかったと思う。”ニューヨーク”の部分を”オッサカー”に替えて歌っているのがさらに良い。ステージ後方に日本(?)の夜の街を走ってるタクシーが映されているのはどうかと思うが。先日の仙台と比べて”オオサカ”を連呼しまくりで、何もそこまで言わなくたってと言うくらい使って頂いて嬉しかった。が、残念な所はこの曲でも客をステージで踊らせていた事だ。

アンコールになりプリンスのキーボードがステージ中央にセットされ、プリンスは安物くさい白のヒラヒラ衣装で登場、キーボードに座ると"Adore"を演奏し始める、これはあんまりパッとしない曲だが、次がなんと"The Most Beautiful Girl・・"!残念な事にこれはワンフレーズで終了。なんでこんなイイ曲を途中で止めるのか理解出来ない。その後もメドレー形式で曲を演奏していく。さっきの白の衣装のまま、足にはセレブで履いていた白のひらひらブーツを履いて登場、しかも手には先日御茶ノ水で買ったというフェルナンデス製の水色のストラトキャスターを持っているが似合わないと思う。そこで始まったのは"Peach"、アレンジはもう1つ。機嫌が良いのか、悪いのか演奏の最後、バックステージに向かいながら高くギターを放り投げ、当然床に叩きつけられたが翌日の名古屋公演ではステージ下にスタンバイされていたので結構気を使いながら投げたのか?そして最後に"Days of Wild"、少しかったるいヴァージョン。そして客電が点けられ、アコースティックギターを抱えたプリンス登場。お約束の"Last December"が始まるかな?と思いきや、"Alphabet St."を演奏!しかしワンコーラスで終了し曲は"Last December"へ!、誰も言わなかったがこれほどダサいルックスがあるだろうか?ヒラヒラの白の衣装に、あのブーツを無理やり履き、それにアコースティックギター、、。最後ステージを後にする時に日本語で”サヨナラ”と言って掃けて行った、初めてプリンスの口から日本語らしい言葉を聞いた瞬間だった。今日の公演は会場の大きさがデカ過ぎるので期待はしなかったが、メンバー特権の5列目で見れた事もありとても素晴らしかった。

その後アフターパーティーの告知が有り”トライアングル”へ向かう。アメリカ村三角公園前のクラブだそうで地下鉄御堂筋線に揺られつつ”トライアングル”に到着。既にそこには大阪公演を観た人達が列を作っている、場所もアフターショーは有り得ないという事で、まず近所の牛丼屋で食べてから行く事に。 食べ終わってから店に着くと列も短くなっていてすぐに入れそうだった。すると、プリンスが乗ってる黒のリムジンが近くまで来たのだが、ファンがまだ外にいる事を警戒してか、また何処かに走っていく。しばらくして再度プリンスの車が店の前に。最初にセキュリティーの黒人が通り道をチェックしていよいよプリンスが車から降りてきた!ものすごい笑みを浮かべたプリンスが店内に入っていく。店内は3階に分かれていて下から一番上まで吹き抜けになっている、一階部分がダンスフロワーでその上の階がバルコニー&まったりスペース、一番上がVIPルームになっていて,そこからプリンスがガラス越しに見下ろしているという感じ。しばらく待っているとプリンスがガラスの側で下を見下ろしている、すると上を見上げるファンは大歓声でプリンスを迎える。しばらく下を見つめるプリンス、隣にいる女性が手を振ると振り返すので自分も振ろうかなと思った。その後も今終わったばかりの大阪公演のビデオ映像をハンディタイプのDVプレイヤーで見ているらしく時折液晶画面をこちらに見せるが、そんな小さい画面では見えない!。しばらく観察していたが、ガラスを叩くポーズをしたり、手を振ったりでご機嫌というかサービス満点でなにかイメージが違う。下のフロアーのDJブースでは日本人からプリンス専属のDJ,Dustinにチェンジしている。これからプリンスも降りてくるとのスタッフの言葉で慌てて凄い人の波になった。プリンスがDJブースに登場し"Kiss"などの曲をバックに客を物凄く煽る、とても機嫌が良い!何度か音を消してサビを歌わせようとするプリンス。しかし、"Everlasting Now"で歌えない客にアレっ、という感じで目を大きく広げでビックリしてる。20分程でプリンスはVIPルームに帰って行った、見上げるとガラスの前で黒人が手を振ってる、なんでセキュリティーがみんなに手を振ってるのかなと思い良く見るとメイシオだった、顔が黒いので良く分からない。しかもフロアーにいる人達はほとんど無反応だった。会場の壁にはさっきプリンスが見ていた大阪公演の映像をビデオプロジェクターで映し出している。舞い上がっている間にも時間は過ぎて行くが、まだ明日の名古屋が残っているので2時半頃には店を出た。出待ちをしたい気持ちはもちろんあったが、仮眠を取るため近所の親戚の家に向かう。その後プリンスはクラブに来ていたFM802のDJと話が弾み長時間話していたのだそうだ。VIPルームではトマトスパゲッティ、スナック菓子、おにぎりを食べ、飲み物はストローで赤ワインを飲み、結局店を出たのが4時半頃でプリンスは少し遠くに止めてあったリムジンに小走りで車の所まで行かなくてはダメだったとの事だった。

11月29日名古屋公演
昨日の心斎橋パーティーを途中で帰り2時間程の睡眠を取り、朝7時には新大阪のプラットホームに立っていた、、尋常じゃない。新幹線で名古屋に出発、センチュリーホールに到着したのが9時前、既に見た事ある顔が列を作っている・・いったい一番に来た人はいつから並んでるのか?それに毎度毎度同じ客が見に来ているのをプリンスはどう思ってるんだろうか?この時点で体も結構ガタがきている。しかし今日の客は意気込みが違う!先日の大阪の評判を聞きつけた人が当日券を求めて急遽名古屋に来ているようだ。

5時をまわった頃にサウンドチェックが始まる。スティービーワンダーの曲等を演奏、後半のインストは正直眠たくてウトウトしてしまった。そしていよいよ一般客も入場し、DJ,Dustinがプリンスの曲を次々と流す!するとNPGMCのメンバーのエリアを中心に客席が即席のダンスフロアーになっていた!日本でこんな盛り上がるとは結構以外、座ってる自分はとても浮いてる。7時を15分程過ぎた頃に客電が落とされショーがスタート。今日は昨日と違い始めからジョンがドラムソロを叩き出し、そのまま"Rainbow Children"が始まる。客のノリが半端じゃなく凄い、プリンスってそんなに人気あったかな?と考える程黄色い声援が続く。結局噂されていたシーラEの登場は無いようだ、個人的な今日のハイライトは"Money Don't Matter 2 Night"ホントに毎日演奏が違うらしく。後半ホーンセクションの活躍と共にレナートの激しいソロで昇天した。正直な話この日はこの曲だけがポイントだった。客の盛り上がりとは違いステージのプリンスは特にテンションが上がってるわけでもなく、そのままズルズルと"The Everlasting Now"で1度終了、その後昨日と同じようにプリンスのキーボードがステージ中央に移動される!っと、思ったら又もとの場所に戻される!なんで〜?。しばらくして最初のアンコールが!なんと"Purple Rain"という人をなめた選曲でスタート、トイレ休憩に行こうと思ったが、周りの雰囲気を壊すと考え我慢する事に、ところが曲が終了するとともに客電が点いた!!あれっ、ここからは客電の点いたまま演奏するのかと思いきやそのままショーが終了!?しかし終了のアナウンスも無いままスタッフが撤収作業に入る、途中でプリンスがアコースティックギターを抱えて登場するかと思ったがそれも無い!!しばらくしてからスタッフが本日の公演は終了したという事を大声で叫んでいる、しかしファンはここ数日のショーの最後は"Last December"で終了してるのを知っているのでなかなか退場しようとしない。しかもアフターパーティーの告知もしてない!。。このときプリンスは既に東京行き最終の新幹線に乗る為に車で名古屋駅へ向かい、日本で一番コアなファンが集まってるであろう会場を後にしたのでありました。


2002年12月