Symbol Guitar
【シンボルギターについて 】
(ジェリー・アウアーズヴァルト製作のシンボルギター)
1993年、プリンスは自身のレーベルであるワーナー・ブラザーズとの契約紛争に巻き込まれていた。ワーナー・ブラザーズは、マーケティング部門のペースに合わせて彼の多産なアルバムの発売を制限しようとした。しかし自分の芸術的独立を取り戻すためにプリンスは自分の名前を発声不能のシンボルに変更し、業界への抗議として頬に「Slave」という言葉を書いてコンサートを行った。プリンスは彼自身の新しいアイデンティティの一環として、「モデルC」と「クレオベース」を制作したギタービルダーのジェリー・アウアーズヴァルトに新しいギターの設計と製作を依頼する。プリンスがギターを注文した時の指示は「僕の名前のように見せたい」と言うのがすべてだった。100年以上前のアンティーク木材を使用したボディは「ラブシンボル」の形に彫刻が施されたメイプルのボディとスルーネック、そして金メッキのハート型のチューニングペグ、金色のボリュームとトーンコントロール、ファインチューナーを備えたカスタムブリッジ、ピックアップはクラウド・ギターと同じEMGのシングルコイルとハムバッカーを備えている。1994年2月12日のペイズリーパークでのライブでオリジナルの Symbol ギターが初めてお披露目され、同じ時期にミュージックビデオの「Race」「Endorphinmachine」「Dolphin」で使用された。

(アンディ・ビーチ製作のシンボルギター)
詳細は不明だがアウアーズヴァルトのオリジナルのシンボル・ギター完成後、プリンスはバックアップ用のギター製作をアンディ・ビーチに依頼した。この2本目のシンボル・ギターはアウアーズヴァルトのオリジナルに厳密に基づいているがこのギターは全てメイプル(?) で作られており、コンパクトなボディに無駄な木材は使われていない。そして、その象徴的な形状にもかかわらず、ネックジョイントから突き出た突き出たエクステンションはギターの演奏性に問題は無く、ネックはとてもスリムでオリジナルに忠実に再現されているが、フレットはオリジナルの24フレットから22フレットに変更されている。
2 つの EMG ピックアップはオリジナルと同じくシングルコイルとバンバッカー 1 つ。ハードウェアはすべて金メッキ、ブリッジはフェンダースタイルに変更され、シンボルの穴を模して黒く塗られたボディ中央の円形セクションに取り付けられている。チューニングペグはハート型ではなくノーマルの物。 1994年11月発売の雑誌「ギターワールド」にはアンディ・ビーチとジーク・クラークによって製作されたと書かれているので、ギターの形成と組み立てはアンディ・ビーチが、ピックアップなどの電気系統はジーク・クラークが担当したと思われる。

1994年5月からスタートしたクラブツアーではオリジナルのシンボルギターが使用されていたが、ステージ上の写真ではバックアップとしてもう一本の金色のシンボルギターが確認出来る。
さらにこの年の後半「The Same December」のミュージックビデオでは黒色のシンボルギターが登場。アンディ・ビーチはインタビューでシンボルギターはオリジナルから合計4本の複製を製作したと語っており、1994年に金色と黒色がステージでお披露目された後、1995年のアルティメットツアーでは壊れやすいとの理由でオリジナルは使わずこの金色と黒色の2本のみ使用。その後黒色は1996年のテレビ番組「The Today Show」まで使用されたが入れ替わりとして白色が登場した。
これらのギターはマホガニーで作られていたため、耐久性が低くプリンスはホーンの部分を折ってしまい接着する必要があった。※使用されている木材や製作者の違いなどが情報源によって違う。

1999年にアメリカの「シェクター・ギター・リサーチ」に製作依頼した紫のシンボルギターは「Habibi」(ハビビ)と呼ばれ2002年の日本公演でも使用された。しかしプリンスがギターを空中に放り投げるなど酷使された結果、2007年のスーパーボールを最後に引退、このギターはテレビ司会者のタヴィス・スマイリーに贈られた。
※アンディ・ビーチはスーパーボールで使用されたシンボルギターは自分が製作したものだと話しており、シェクター製ではないのか?
その後ライブではしばらく使用されていなかったシンボルギターだが、2015年8月にプリンスが2016年に予定している「Pinano & A Microphone Tour」で使用するため紫のシンボルギターの製作をシェクターに依頼していた。シェクターはプリンスのギターを過去に4本製作していたが、ギターの寸法を取るためにロスの工場に返却されていたという。製作担当者は日本人。

現在シンボルギターはオリジナルのゴールドのみがペイズリーパークに残っているが、白と黒のシンボルギターがどうなったのか不明。2023年6月のアンディ・ビーチのインタビューでは今回ペイズリーパーク・ミュージアムから新たに5本のギター製作を依頼され、その中の一本はスーパーボールで使用されたシンボルギターのレプリカとの事。現在までに何本のシンボルギターが製作されたのか正確な本数は分からない。
【1994】
【Symbol Gutar (Original)】
アウアーズヴァルト製作
1994年1月(?)
「Race」撮影

「Endorphinemachine」撮影


1994年2月12日
Paisley Park

シンボルギターがライブで初めて披露される。

1994年7月12日
The Today Show
「Love Sign」


ノーナ・ゲイとデュエットで出演
オリジナルのシンボル・ギター使用はこの日のスタジオライブが最後か(?)

【Symbol Guitar(Gold)】
アンディ・ビーチ製作


















1994年5月クラブツアー

1994年6月19日
GlamSlam

アウアーズヴァルトのギターを弾くプリンスの後ろにバックアップとしてもう1本アンディ・ビーチのシンボルギターが置かれている。







1994年12月13日
David Letterman
「Dolphin」

【Symbol Guitar(Black)】
アンディ・ビーチ製作


























1994年11月8日
黒のシンボルギターが登場
「The Same December」撮影

「Zannalee」撮影

1994年11月24日
MTV European Music Awards
「Peach」


【Symbol Guitar(White)】
アンディ・ビーチ製作
【1995】
  1995年3月3日
The Ultimate Live Experience
London




1995年9月
Paisley Park
「Gold」撮影

ギターの根元に折れて修復去られた跡が見られる(?)。
1995年3月11日
The Ultimate Live Experience
Manchester



1995年10月
「I Like It There」撮影



【1996】
  1996年1月11日
"大阪城ホール"大阪

メインに黒のシンボルギターを使っていたがアンコールではゴールドのギターを使用。


1996年11月20日
"Park West"Chicago


1996年1月8日
"武道館"東京





1996年7月9日
The Today Show

演奏の最後でストラップを取りギターを床に落とす。これが「黒色シンボル」が確認出来る最後(?)。

















1996年11月12日
Pasley Park
「Emancipation Special」
白のシンボルギター初登場



白とゴールドのシンボルギターはアンディ・ビーチによって製作された。
【1997】

ゴールドのシンボルギター
1997年


1997年8月10日
"Summit Arena"Huston
  1997年2月26日
"Top Of The Pops"



1997年12月11日
"Target Center"Minneapolis

【1998】
  1998年4月10日
「The Essence Awards」


1998年9月25日
"Madison Square Garden"NY

この頃にシンボルギターを弾かなくなくなる(26日が最後?)。その後はアイバニーズのギターとメタリックブルーのクラウドギターを使用。
  1998年5月29日
The Today Show




1998年9月25日
"Madison Square Garden"NY
「白色シンボル」の最後(?)。
【1999〜2016】
2016年〜
Paisley Parkに展示

ジェリー・アウアーズヴァルト製作のオリジナルのシンボルギターは現在ペイズリーパークのミュージアムで保管されている。



その他の展示物

ミュージアムにはシルメル(Schimmel)のペガサス・グランド・ピアノも展示されている。ピアノは継ぎ目のない 1 つの連続したグラスファイバーとして作られ、ピアノのスツールと一体型のデザイン。プリンスの他レニー・クラヴィッツ、エディ・マーフィが所有している。
1999年〜

(2016年の写真)
1999年頃にスパイク・リーはプリンスからギターを贈られる。アンディ・ビーチが製作した物だが、これがメインで使用されていたギターかは不明。



1999年4月
シェクターにより製作

1999年頃にシェクターが制作したパープルのシンボルギターは「Habibi」と呼ばれていた。

ブリッジはフェンダースタイル。


2000年5月

2000年頃にHabibiのブリッジにシンボルギターとしては初めてフロイドローズが搭載され2007年のスーパーボールまで使用された(?)

2007年2月1日
Super Bawl


スーパーボール後にテレビ司会者のタヴィス・スマイリーに贈られた。



















シェクター製のシンボルギターの裏蓋はストラトと同じような形でボディも長方形のザクリ加工がされている。(2016年モデル)

       


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